「原書に挑戦」アーカイブ
No.
題名、作家
Book Review (Review 寄稿者)
2005年11月より
1














The Da Vinci Code
by
Dan Brown












現実にありそうにないミステリーなのに、現実とフィックションの区別がつかなくなり、グングン物語に引き込まれていく。内容はキリストにまつわる謎で、同じような話がごまんとあるようだが、この本に書かれていることは真実ではないかと思えてくる。

物語は実在する美術館での殺人事件から始まる。被害者が世界屈指の館長であり、謎めいた宗教団体に入っていたことが物語に複雑な展開をもたらす。ダ・ビンチの「最後の晩餐」「モナリザの微笑み」に込められたメッセージとは何か。ネットや絵画集でダ・ビンチの絵を食い入るように見た人は私一人ではなかろう。そしてカトリック教会が本書に対し激怒したという。描写がまるっきり出鱈目であったら鼻にもかけないだろうに、無視できない法王庁に、隠されたキリストの謎の存在を感じて、興味深い。

最後に、この本が映画になるらしい。読みながらキャスティングを考え楽しんだ。映画が始まる前に是非一読されることをお勧めする。
(Nov/05 by st )

2


















Deception Point
by
Dan Brown
















大統領選の最中、次期大統領の座を狙う対立候補の娘であり、諜報機関に勤務しているRachelは事情も行き先もわからないまま、大統領の要請を受け、ジェット戦闘機に乗せられてしまう。行き着いた先でRachelが見たものは、このところ失敗続きであったNASAの世紀の大発見であった。ところが、その発見には大きな陰謀が隠されていた...。世紀の大発見とは何なのか? なぜ、それが「世紀の大発見」なのか? 陰謀を仕掛けたのは誰なのか。何のために? なぜ大統領はRachelを選んだのか?

と、いうことで、この謎だらけのお話の主人公はDan Brown好みの美しく聡明な女性と博識の学者である男性。この二人が命を狙われつつ、発見に隠された謎を解明していく、というお話。Angles and Demons, The Da Vinci Codeとは趣きが違うものの、さすが博識のDan Brown。大統領選の裏、政治家のエゴと野心、各政府機関の駆け引き、天文学、生物学、海洋学などなど蘊蓄がいっぱいです。次からホワイトハウスの中継を見たら、あなたもきっと紋章の鳥(鷲?)が気になることでしょう。

この本には様々な知識が散りばめられ、専門用語がたくさんありますが、そこはストーリー展開のうまいDan Brown。単語が分からなくても楽しめるのは一つ一つの文章が短く、場面展開が速いからでしょう。次はどうなるのと思いながらあっという間に読めてしまいます。但し、寝るタイミングを逃す可能性があるので、寝る前に読むのはお勧めしません。
(Nov/05 by ym)

3












Angels and Demons
by
Dan Brown










ある先端科学の研究所から「反物質」なるものが盗まれた。Antimatterという文字が目に飛び込んだとき幾分興奮した。反物質を扱う量子論は「在ると思えば空っぽ、空っぽと思えば何か在る」と不確定なことをいうミクロの世界の物理学で、色即是空の宇宙観と共通する。般若心経ファンとしては「反物質」が誘引剤となり、"unputdownable"という言葉があるらしいが、まさにその通りDan Brownの世界に浸り込み、本を手放せず中毒状態になった。

新解釈"空"の宇宙論:糸川英夫著(青春出版社),シュレディンガーの猫は元気か:橋元淳一郎著(早川書房)など素人用解説本と重ねて読むと面白い。

冬休みにまた ymさんに借りたDeception Pointを読ませてもらい Dan Brown に再会できる。彼と巡り会わせてくれてありがとう。
(Dec/05 by sn)

4








Memoirs of a Geisha
by
Arthur Golden





日本文化の中でもとりわけコッテリした京都の花柳界の内実を一体英語という言語で描ききれるのか。芸者達の話術や独特の言いまわしを英語で表現できるのか。アッレー。できるんだ。世界大恐慌の頃から戦中、戦後の日本の一部を垣間みられる。花登筐の「細うで繁盛記」的な「悪玉」芸者の描写に多少食傷し、中だるみもしたが、この本を読んで、日本人作家の名作で縁がなかったものや何となく敬遠してきた本を、英語の翻訳版で読もうかと思った。ところで、誰か藤沢周平を英訳してくれないだろうか。藤沢周平の世界を英語というレンズを通して見ると、一体どう見えるのだろう。
(Jan/06 by sn)

5








Stardust
by
Robert Parker






長期ベストセラーの連続ものの一つで私立探偵Spenserのお話。クールガイ。犬嫌いでも、Parkerの擬人描写で犬好きになる。シリーズなので知らない登場人物も出てくるが、英語はクリスプで読みやすい。英語を生業にしながら「原書」の敷居の高さにひれ伏して避けてきたが、数年前にひょんなことから手にした一冊。TIME誌にもない、英会話教材にもない日常の描写に触れられ、原書の世界の面白さを教えてくれた。何も微に入り細に入り全部分からなくてもよいのだ。作家に腕があれば、non-nativesでも感情移入ができる。原書への導入作家の一人。以後、数冊紹介します。
(Jan/06 by sn)

6








Ceremony
by
Robert Parker






話が追いやすく気軽に読める。Parkerに出会えてよかったと思うのは、第一に文章が簡単で簡潔なこと。例えば、He looked over the rim of the coffee cup at the building beyond the window.のような文に出合える。私にも言えそうな文ではないか。前置詞とはこう使うのだと教えてくれた作家。もう一点、ストレスのない聴き取りにくい単語をnativesがどう発音しているか教えてくれた。例えば、before you dieは 'fore you dieと表記されている。もちろん、これはParkerだけではないが、リスニングにも役立った。日本人の耳にちゃんと聞こえないはずである。はなから言ってないのだ。これは私にとって大きな発見でした。(Feb/06 by sn)

7





Twisted
by
Jeffery Deaver



 
多少、話に当たり外れがありますが、毎回のどんでん返しに「そーきたかー」と感心させられます。私のお勧めは Without Jonathan と Gone Fishing。もちろん Lincoln Rhymeが主人公のものあり、Shakespereが出てくるものあり(thouだのnayだの昔の英語で難しい!)、よくまぁ、こんなに思いつくものです。短編集だから忙しい方でも大丈夫。気楽に読めます。The Usual SuspectsとかThe Thomas Crown Affiarなんかが好きな人に特にお勧めです。 (Apr/06 by ym)

8




Trouble in Paradise
by
Robert Parker

主人公のStoneは小さな町の警察署長。アル中克服途で、くたびれた中年だけれど、職場での姿に惚れ惚れする。その上、恋人に「好きだけれど愛せない」などと平気で言うから、中年女的には魅力のフォーミュラが整っている。クライマックスでは真打ち登場のように誠によろしくて、歌舞伎のかけ声をかけたくなる。Pakerの英語はクリスプで読みやすく、原書の導入本としてお勧め。(May/06/ by sn)
9






The Old Man and The Sea
by
Ernest Hemingway



今日、タクシーに乗った。運転手さんは素潜りの名人だった。話しが高じて「老人と海」の話になった。映画でremake版が作られた有名な話ですが、原作はわずか100ページほどの本です。その薄い本に純朴で年老いた漁師の物語が詰まっている。一匹のカジキマグロとの闘いで漂流し、年老いた体がボロボロになる。おかは幾日も見えず、死が隣にあるのに、芳しい薫がページから立ちこめてくる。人間、枯れると、かように美しく可笑しく諦観し、それでも死ぬまで生き通すのかと思いました。(May/06/ by sn)

10






The KIte Runner
by
Khaled Hosseini




"I became what I am today at the age of twelve..."で始められると、読まずにはいられない。冒頭の心のざわめきが牧歌的な色調で薄れ、清らかな水に一滴インクが滴り落ち、心がまたざわめく。そのインクが消えず、次第に濃さを増し、赤にも黒にもなりながら、幼児が少年へと成長していく。物語の佳境に向けて「あ?、ハリウッド?」と思う瞬間があった。しかし都合のよい辻褄合わせのハッピーエンドへの懸念は、嬉しくも裏切られた。人生を多層に眺める懐の深い作家に出会えてよかった。(Sep/06 by sn)

11




Confensions of an Economic Hitman
by
John Perkins


世界経済に興味のある人にとっては、内幕物という一ひねりした視点から、世界経済の流れが概観できる。石油から発展した国際紛争の数々の裏で何が起こっていたのか。日本もちょっと登場。スパイ小説のような面白さで読める。途中から、世界が二重映像で見えるような気になる。(Sept/06 by sn)

12







Digital Fortress
by
Dan Brown






Dan Brownのいつものフォーマット通り、ある人物が死ぬ場面から始まる。それがこの本の謎に関わる人物で、日本人。Dan Brownに魅せられた読者で、なおかつ日本人の読者なら、いつものスリルにおまけがつく。そのおまけとは何か?! 言おうかな。どうしようっかな。言います。Dan Brownの日本語の理解に間違いがあることを指摘できるのです。「おいおい、誰にその日本語を習ったのだ」と言えるのです。えー、うっそー、ダンちゃん。ちょっと拍子抜け。さればこそ、言葉を学ぶ者として、誤訳の恐ろしさを痛感する。上記3冊に先行する1998年出版の本で、世界のベストセラーの原点がここにある。読みなさーい。
(Oct/07 by sn)
13

















The Gunslinger:
The Dark Tower I
by
Stephen King














 
例えば100ページの本だと、最初の10ページ(本の長さの10%)で読者の心を掴まなければ、It's not a good story.だと、どこかでキングが言っていた。確かにこれまで読んできたキングの全ての本において、のっけからhook状態になり、分からん単語も何のその、この偉大な「語り部」に手を取られ、その掌で遊ばせてもらい、ずしっと肚にこたえる読後感とともに、エンターテイメントの真髄を堪能させてもらってきた。

でもこの本は、non-nativesをいたぶり、愚弄し「ケッ、お前に分かるはずがない」という空気に満ちあふれている。完全に「私はだーれ、ここはどこ?」状態で、「お前にだけは分からんように書いたのだ」という声が3回聞こえ、途中まできて、また最初の10ページを読み直し、最後の10%あたりで、やっと何かが見えてきた。一体どういうこっちゃ!だったら読むのをやめたらいいじゃん。でも、やめられなかったの。だって私、キングが好きなんです。

キングが The Dark Towerシリーズの第1巻 The Gunslingerを書いたのは1970年、万博の年。それから延々と33年の年を経て完結したらしい。キングらしからぬ煙に巻いたような描写は、改訂版の「前書き」にあるごとく、若気の至りらしい。そう、「ケッ」と言われたのは私だけじゃない。全部で7巻。あーあ。バキューン。無理そう。キングが好きなあなた。Non-nativesを代表して7巻、やっつけてよ。

14




















The Remains of The Day
by
Kazuo Ishiguro  

















沢木耕太郎が新聞に連載を書いている。その連載に映画の描写があった。実際に観てはいなが Kazuo Ishiguro「日の名残り」だとピンときた。ずっと読みたいと思っていた作家なので、早速オンラインで注文。いつも通り、リストから値段の一番安いのを選んで買ったら、びっくり。なんと本の最後に ACTIVITIES というページがあり、質問が書いてある。最近の原書は、私のようなinternational readersのために、設問つきなんだー。知らなんだ。ラッキーじゃん。

でも本で英語の勉強をするつもりはないから、設問は無視。いつものように表紙を見て、後ろのカバーを見て、1ページ目をめくり、これからいざなわれる世界への「旅立ちの儀式」をしていたら、ハア? エエ? 開いたページに、Level 6, Retold by Chris Riceと書いてある。Ishiguroの本じゃないの?

3000語内で書き直された Penguin Readersの本でありました。ゆえに、お勧め度の評価をつけようがない。読んで思ったこと:3000語なら充分私の語彙範囲。原本を3000語内でパラフレーズしているわけ。パラフレージングなんていつもやっている勉強方法じゃん。さて、私にそれが出来るか?と自問自答しながら読んだら、Chris Riceさんが偉く見えてきた。イングランドの世界。何か江戸時代の城勤めの侍のような、大店の番頭のような bulterの押し殺した感情が、ある瞬間に堰を切り、次の瞬間に能面の奥に消えて行く。 Ishiguroの原本を買い直し、比較したいような衝動に駆られた。あなたは、あの結末をどう読むのだろう?

15

















Passing Shower from The Bamboo Sword, translated by
Gaven Frew 


はしり雨
漢字変換不可) 藤沢周平著









かれこれ10年前の秋の夕暮れ時、本屋に立ち寄り、平積みされている本を眺めていたら「冤罪」という書名と白壁と瓦屋根の表紙絵が目に留まった。以来、藤沢周平という文筆の達人が織りなす風景と人物描写に心酔し、ひたすら読み続けてきた。市井の人も奇癖の持ち主も、その人物像が平らな紙面から呼吸をしながら立ち上がる。物語を生かすも殺すも筆次第。日本語のマスター、超一流の語彙選択の文字の世界で、読者は気持ちよく遊ぶだけ。そんな職人が紡ぐ日本語を、英語で一体どう表すのか?

はてさて。ああ、あの短編だなと読みながら記憶がよみがえった。「番頭」は chief clerkで「火の見やぐら」は fire-lookout towerと江戸がABCで描写される。京都の太秦(うずまさ)のセットがハリウッドの西部劇のセットにすり替わるような違和感はある。時空がずれるのだ。異文化間の橋渡しとしての翻訳だから仕方がない。

一つ感じたことは、英語とは記述的な言語だということ。主語を省き、単複にこだわらない日本語という言語を、ビシッとSVOの規則を踏襲し、クッキリカッチリ記述する。そうして言語の橋を越えた時、一つの言語が別な言語に翻訳された時、オリジナルの何かは消えざるを得ない。しかしそれにしても「はしり雨」があがった時に感じた清々しさを、Passing Shower の読後感としても感じた。きれいに橋を渡ったのではなかろうか。

16














1984
by
George Orwell












英語を勉強していて何回"1984"という本が引用されるのを聞いただろうか。"1984"も"Big Brother"も日本の英和辞書の見出し語として載るほど世界が引用してきた本である。私などにこの本を論じるだけの定見はない。ただただ読み継がれなければならない本だということは、実感する。

一つの物語として読んだ。監視カメラは人間の心まで監視できるのだろうか。人間にとって言語とは何なのだろうか。日本には「言霊」という言葉があるが、言葉の威力を統治者という他人が知ったとき、私の心にその他人が侵入し得るのだろうか。心こそ個としての人間の最後の砦ではあるまいか。誰にも侵されることのない、誰もこじ開けて覗き見えないブラックボックスではなかろうか。心とは「私」が宿る場所ではなかろうか。そうなんだ。Winston Smithはそうして自分を守る。

21世紀になり、誰かがどこかで"Fear is a commodity."だと言った。20世紀の中頃に全体主義の最悪のシナリオを描いた本が、ソ連崩壊のあとにもその価値を失わないとはどういうことなのだろう。

17











Teacher Man
by
Frank McCourt









Frank McCourtは映画にもなったAngela's Ashesの著者。作家でもあるが、アメリカの高校や大学で英語を教えているアイルランド系の先生である。その英語の先生の英語に戸惑った。直接話法の"引用符"が割愛されているのである。英文法も教える英語の先生が、直接話法と間接話法をゴッチャにした英文を書いていいの? 非文法じゃないの? どうもそうではないらしい。このような文体は、英国人やアイルランド人の作家に見受けられるらしい。それにしても、足腰の弱いnon-nativesには読みづらい。

ところが、最初は何回か目を戻して読み返したが、だんだん慣れてくるのである。引用符なんかなくても不都合は感じなくなる。彼の文体に慣れた頃、赤裸々な自虐的ユーモアにも慣れ、教室でのやり取りに至っては爆笑させられる。ページが進めば進むほどenthrallingで面白くなる。

18












Hearts in Atlantis

by
Stephen King








第1部の Lowmen in Yellow Coatsが圧巻である。作家とは凄い種族だと思う。まだ安心してベッドで寝ていた頃の、まだ現実と夜見る夢の境目が混沌としていた頃の、少し大人になりかけた子供時代のあの頃の、作者の描写力に感嘆する。それは灰谷健次郎、あるいは、かの時代の宮本輝の描写に触れた時の驚きと共通する。私にもあった子供時代。その私の子供時代を本人の私以上に覚えてくれている、という感じなのだ。

筋立ては過酷である。しかし過酷さの真横にKingの優しさと温かさがある。テンポがよく単語が分からなくても、興奮しながら最後のページまで辿り着ける。この本は1部だけでよいと思う。2部、3部は印象が薄いし、3部作としての構成に少々問題あり。しかし1部はもう一度読み返したくなるほどの秀作だ。

会話では、リエゾンの仕方や単語の最後の-tや-dは舌だけ動かして発音しないという知識が役にたった。

19










The Bamboo Sword

藤沢周平著

translated by Gavin Frew 



自分が好きな作家を好きだという人に出会うと、たとえ初対面でも、気心が知れたような気になる。翻訳するくらいなら、Gavin Frewも藤沢に惚れたに違いない。藤沢の押さえたユーモアが英語でもちゃんと藤沢のユーモアとして描かれていた。クスッと笑ったり、時にガハッと笑ったり、藤沢が英語で書いたらきっとこんな英語になったに違いないと思いながら読んだ。それにしても、外国語を母語に翻訳すると、このように多彩に表現できるのかと、少々うらめしく思った。

藤沢の江戸の庶民や侍の日常生活を、夏の盛りに読むとよい。たとえ部屋の温度は変わらなくても、清風がよしず越し感じられるように、サラリと気持ちよい読後感を味わえる。

20






Embracing Defeat

by John W. Dowe

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日本の敗戦、そして戦後の日本がたどった軌跡をアメリカ人らしい詳細な分析と冷静な筆致で描いています。邦題では「敗北を抱きしめて」となっていますがこのタイトルが斬新です。敗北は「抱きしめる」ようなものではないのに「抱きしめて」しまった日本人。「上からの民主革命」を受け入れてしまった日本人。戦後60年余りを経た今日でも日本の民主主義は脆弱、形だけといわれるのもどうやらこの辺に淵源があるのでしょう。

21








OF Mice and Men
by
John Steinbeck   





『怒りの葡萄』の著者が書いた短編。以前から友達に薦められていた本。この本は、サスペンスと呼んででいいのだろうか。最初から顛末が見えているのに、読み進んでしまうサスペンス物語。発音された通りに表記されるので、音声的に興味深いし、文法の乱れがそのまま活字になっているので、これまた毎週ディクテーションをしている人間にとっては興味深い。(NELの本には一部マークしています)

さて、最初から分かったつもりで読み進み、とうとう思った通りのことが起き、すべて読み終えて本を閉じようとした目が捉えた最後の2行。え? ん? ヘ? どういうこと? 一体何なのだ。この最後のメッセージは。

22










The Girl Who Loved Tom Gordon
by
Stephen King





読み出すと止まらない。最後の20ページは別れがたく2度読んだ。9才のTrishiaの物語。たとえフィックションとは言え、幼気ない少女をそんな過酷な状況に追いやっていいのかあ!と思いながら読み進む。ここかしこ、描かれる状況はまさに怖ーいホラーです。でもこっちの英語力の非力さが幸いし、そげん怖くなかと。ぼやーんと怖いだけ。そうして読み進み、最後のページにきて心に残るのは、人間の強さとおかしさである。怖いけれど、笑うところもありました。

■英語情報:
9才の女の子が使うであろう動詞が満載。日本語は擬態語や擬声語が多いと言われるが、英語の擬態語、擬声語の多さにびっくりする。なにかしら小学生がいるアメリカの家庭にホームステイしているような感じ。
23









Misery
by
Stephen King   







私はキングが好き! と言っても正真正銘のファンとは言えない。なぜなら彼の初期のベストセラーはこれが始めてだからだ。内容はシドニー・シェルダンをもじった名前のPaul Sheldonという売れっ子作家と彼の "Your number one fan"のAnnie Wilkes との怖ーいお話。

例のごとく、一枚目から吸い込まれる。しかし、吸い込まれたものの、私が歳を取ったのか、何かしら「思い入れ」感を持てずにページをめくった。Sheldonを追いつめ傷つけるAnnie。自分の思い通りにならないと言っては、痛めつける。まるで子供じゃないか。ところがある日、他人へ与える傷の深さは、結局自虐の深さに呼応することが分かる。そのくだりに達した時に、ページをめくる指のスピードが一挙に増した。

24












Embracing Defeat
by John W.Dower  









親に叱られ「もう悪いことしませーん」と泣いて謝る幼児の如く「もう二度とnativeのようになりたい」などと口幅ったいことは申しません。

私の読書は原則辞書は引かない。分からない箇所は推測し気にせず進む、であるがこの本には手こずった。nativesの無尽蔵と言える「言葉の大海」に飲み込まれ翻弄された。大学生の本を幼稚園児が読んでいるような気さえした。読了に半年もかかった。

それほど、難しい本なのになぜ手放せなかったか。それは福島第一原発事故を、地理的には遠いけれども一人の日本人として体験したからだ。あの事故がどういうわけか私に第二次世界大戦のこと想起させた。そしてダウワーという強靭な精神と知性の持ち主により、戦後の日本を教えてもらいたかったのだ。風俗、子供の生育状況、復員兵士の扱われ方、出版、占領政策、そして憲法草案に至るまで、私の知らないことだらけ。この本は、もう一度読み返さなければならない。

25

















The Power of Habit
by
C
harles Duhigg   

別な本を買いに本屋に行ったら、その本の真横に「これも読め」とばかりに置いてあったのがこの本。2冊買って、結局こっちを先に読んだ。本の題に何か抜き差しならぬものを感じたからだ。

スマホをやめられない、煙草をやめられない。ただの習慣がpowerを獲得するとどうなるか。そんなことを想像しながらページをめくると、ありました。ギャンブル中毒者。The power of habitの犠牲者。「敵は本能寺にあり」ではないが、敵は自分の脳内にあり。こうなると断ち切るのはなかなか難しい。人間だれしもそれほど強くはない。

一方、私の好きな言葉「習い性
」に通じるthe power of habitの例もいっぱいある。習い性とは結局、自分で自分の生き方を変えることだ。これまでの生活パターン、思考パターンを変えることだ。これもそう簡単にはできない。だれしもできないので、本の末尾に練習問題つきで、親切。

企業が消費者の消費行動を自社の利益にどう結びつけるかも詳しく書いてある。やっぱり!と思う箇所もあれば、トップで組織はこうも変わるのかと興味深い例もあり。13年春期で話題になった爬虫類脳(脳幹)も出てきます。